誰が音楽をタダにした?
田舎の工場で発売前のCDを盗んでいた労働者、mp3を発明したオタク技術者、業界を牛耳る大手レコード会社のCEO。CDが売れない時代を作った張本人たちの強欲と悪知恵、才能と友情の物語がいま明らかになる。誰も語ろうとしなかった群像ノンフィクション。
おすすめポイント
- ☑音楽業界に関わる人必読の書
- ☑歴史小説?ノンフィクション小説?
- ☑膨大な取材力と文章力によって構成された音楽史
「自分がなにをやってのけたかわかってる?音楽産業を殺したんだよ!」 音楽産業を殺した。 かつて人はみんなCDを買っていた。 買ったCDをコピーして配るということはあっても、大本の誰かはCDを買わなくてはいけなくて、レコード会社も潤っていた。 それを壊したのは、.mp3とその技術によって出来上がった海賊版コミュニティ MP3がMP2を駆逐してデファクト・スタンダードになった経緯と、海賊版コミュニティがどうやってオリジナルを取得して、それをアップロードしていくのか。彼らの組織力に驚いた。 最後は彼らとFBIの手に汗握るような攻防が映画のような描写力で楽しませてくれる。
誰が音楽をタダにした?
登場するのは主に
- MP3を作り出したグループ(ブランデンブルクら)
- 海賊版コミュニティ(グローバー、カリら)
- 海賊対策版と音楽会社のエグゼクティブら(モリス^[Doug Morris - Wikipedia])
mp3が殺される
音楽のデータを12分の1に圧縮することが望まれていた時代において、mp3は技術的に優位だったが、フィリップスなどの企業の支援を受けたmp2に負けてしまった。
一度負けると、ふたつの規格が存在することの弊害から二度と勝つことはできなくなった。
CD工場に就職する
MP3の開発とは別舞台での話。 ドッカリーとグローバーという小さな町に済む大学を卒業していない二人はCD製造工場に勤めていた。
工場では「盗んだら即刻解雇」と書かれており、単純労働をこなすだけだった。
ヒットを量産する
ダグ・モリスの話。
当時はラジオのDJへの袖の下が日常茶飯事だったり、自分のお気に入りの曲をかけるといったことばかりで、ビルボードチャートやラジオの再生数は人気を反映していないものばかりだった。 このため、レコード店の事務員とのコネクションから次なるヒットを予測していた。
Me So Horny - YouTube Music ストリップクラブの定番ソングでこのアルバムはアメリカで初めてかつこれまでで唯一わいせつ物として禁止された音楽
mp3を夜に出す
mp3の変換器はナショナル・ホッケー・リーグのスタジアムに設置されることが決まり、そこから北米のプロリーグの全スタジアムに設置されることが決まった
海賊に出会う
ウェアーズという海賊版サイトが1995年頃に立ち上がり、インターネット黎明期のギークたちがこぞって参加した。 彼らは音楽、ゲーム、雑誌、写真、ポルノ、フォントなど圧縮できるものをなんでもコピーした
ヒット曲で海賊を蹴散らす
モリスの激動の時代の話。
今のユニバーサル・ミュージックなどができあがっていく過程がわかる
海賊に惚れ込まれる
mp3の次なる規格、AACを作ろうとしていたが、知らないうちにmp3へのアクセスが増えていて、デファクト・スタンダードになったことを知った。
「シーン」に入る
「ダークネット」 いわゆるコンテンツ全てをダウンロードできるところ
これにはいるためには なにかの見返りが必要で、みな何か盗んだコンテンツをアップロードしなければ入れなかった。
ここには、映画産業に関わる人、ゲーム会社で働く人、ソフトウェアのデザインを行う人などたくさんの(ほとんど)男性がいた
ここにグローバーはCD担当として入った
法定でmp3と戦う
音楽業界は政治家と仲が悪かったため、映画業界のような違法コピー禁止の警告などの対策をすることが難しかった。
市場を制す
マイクロソフトがmp3に莫大な金を払った
この頃、英語の検索ワードのグローバルな調査結果に関するメールが回ってきた。 「mp3」が「セックス」を抜いてインターネットで最も検索されたワードになったのだ。
p.170
音楽を盗む
グローバーはCD工場からCDを盗み出す方法を思いついて実行した。
ただ、リークするのが早すぎることがあってラインのシフトから誰が関与したのかを簡単に割り出せそうになるくらいのことがあった。
海賊を追う
iPodの出現
ビットトレント登場
パイレートベイからピンクパレスへ
海賊版共有サイト「パイレート・ベイ」が違法ストリーミング配信サービスを新たに開始 - ライブドアニュース アメリカは「パイレート・ベイ」をつぶすためにスウェーデンにどのように圧力をかけたか - GIGAZINE
リークを競い合う
リーク犯どうしがそのリークの速さを競い合うようになっていった
ハリポタを敵に回す
ピンクパレスを運営していた元大学生が捕まった
「シーン」に別れを告げる
グローバーもカリもシーンをやめることになった
金脈を掘り当てる
モリスはVevoを立ち上げた