異文化理解力

著者: エリン・メイヤー/田岡恵
読んだ日: ()
本の価格: 1980
出版時期: 2015年08月
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Cover Image for 異文化理解力
ハーバード・ビジネス・レビュー、フォーブス、ハフィントン・ポストほか各メディアで話題!ビジネス現場で実践できる異文化理解ツール「カルチャーマップ」の極意をわかりやすく解説。
楽天Booksより引用

おすすめポイント

  • まさに日本人が全く足りていない能力を痛感させられた

異文化を理解する力。全く日本人に足りていない能力である。 関西人と関東人の違いなんて比じゃなく、中国人、韓国人とも違えば、ドイツ人とも似ているところはあって似ていないところもあって、まったく同じように扱える国もなければ地域性もあってその人それぞれに個性もある。 ただ、そこに”異文化”による違いが起因しているせいなのかもしれない。と気付けたら解決は近い。 病気が認識できれば、半分は解決したようなもの なんだから。

異文化理解力

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まえがき

今となっては「語学さえできれば」という段階ではなく、文化の違いを理解した上で振る舞わなくてはならない。

それが今の日本人には、世界と働く上で求められている。

イントロダクション

アメリカ的な文化なんてない、アメリカ本国内にも文化の違いがあるのだし、個人の違いによっても違うのだから一括りにはできない。

こうした考え方は日本にも当てはまる。 幸い、日本人はわりと単一だと言われるし、ガラパゴス化しているとも言われるので自分たちが得意的な文化を持っていることは認識しているだろう。

けれども、多くの人は違いを認識しているわけではないし、どう振る舞えばよいのかを理解しているわけでもない。

ただ、違いがあることを認識しているだけなのだ。

だからこうした本が、世界の人々と働いたり、コミュニケーションを取ったりしていく上で、いきていくうえで必要になってくる。

1. 空気に耳を澄ます

イラン人は、提案に乗りたくても一度は否定する。 それが謙虚であるという姿勢を見せることにつながるという文化があるから。

ハイコンテクストとロウコンテクストの違いは言語数からも考えられるかもしれない。

アメリカと比べて比較的ハイコンテクストと言われるフランス語は英語と比べて1/7しか単語数がない。

つまり、これらの少ない言い回しで同じニュアンスを伝える・汲み取ることに長けているともいえる。

中国の文化

中国は漠然とアイデアや意見を言うときは本当のメッセージはその奥にあるため積極的にそれに参加してメッセージを汲み取ってもらうことを期待している。

これは日本にも当てはまる。つまり、相手から聞かれなかったら自分から話さなくてはならないかも。

自分よりローコンテクストの人と働くなら

できるかぎり、透明で、明確で、具体的に。

キーポイントは何度も繰り返し、ポイントを簡潔にまとめたメールを後で送るのも良いでしょう。

様々な礼節のかたち

ネガティブ、ポジティブフィードバックをどれほど直接的/間接的に伝えるか。

アップグレードする言葉、ダウングレードする言葉が有効なときもあります。 アップグレードする言葉は absolutely やstronglyのように意味を強めてくれる言葉。 それとは反対に、Kind of やSlightly, Maybe のような遠回しに控えめで慎重な表現で表現することもできる。 日本はとてつもなく(アップグレード)控えめで遠回しな表現と捉えることもできると思います(ダウングレード)

イギリス人もダウングレードに長けているために、有名となった機長のアナウンスがある。

ご搭乗の皆様、こんばんは。 機長のエリック・ムーディーです。 エンジン全4基が停止するという小さな問題が置きました。復旧に全力を注ぎますので、あまり心配なさらぬようお願い申し上げます。 p.91

文化の壁を乗り越えるために僕らができることは 「文化の観点から自分の行動を言語化する。」こと

コミュニケーションスタイルの違いを説明する。 曖昧な表現を取ってしまっているが、「いい」と思っているということを説明する。

僕ら、ハイコンテクストで遠回しな表現を好む人間にネガティブなフィードバックをする場合はゆっくりと長時間かけてフィードバックの内容を浸透させる。 2. ランチに呼び出すなどして、二人きりの場面で伝える。 3. いいことだけを伝えて、悪い面はリフレーミングするか伝えない。

なぜvsどうやって

日本はどうだろう。数学の問題を解くときに

  • 原理から公式を導き出して解くだろうか?
  • それとも実践的に公式を覚えてその実用性から有効であることを理解してくだろうか。

日本人は水槽の魚以外の周辺情報に気を取られる。

西洋とアジアの「人物写真」にまつわる実験結果。

西洋人は顔だけの写真を撮るが、日本人は周辺の部屋などを含めた写真を撮る。

マクロからミクロへ。 月日の書き方も、番地の書き方も常にマクロからミクロへの視点がアジアにはある。

敬意はどれくらい意味があることなのか

デンマークでは社長は社員と同格で、清掃員より少し上という認識に過ぎない。

中国では上司が自転車にのって通勤することは部下にとっては恥ずかしいことなので車や公共交通機関を使ってほしいと思っている。

極東は儒教のお陰で階層主義が強い。

スカンジナビア、オランダ、オーストラリアではメールを書くときにファーストネームを使う方が良い。 アメリカや英国でもその傾向が強い。

大文字の決断?

スウェーデンは平等主義かつ合意に基づく。 逆にモロッコや韓国は階層主義的でトップダウン式。

日本は階層主義なのに合意思考という稀有な国。 稟議システムJapan!

「日本では、決断は個人ではなくグループの合意に基づいてなされる傾向にあります」

頭で動くか心に動かされるか

日本の飲み会文化。徐々に廃れつつあるもやっぱり影響力は大きい。 こうした”無駄”と言えるものが関係ベースの国では重要になってくる。 他にブラジル人とのランチや中国人との食事は大切。

逆にタスクベースで信頼が構築されることがもっぱらの欧米ではこうした物事には重要性がないと考えられがち。

日本では個人的な関係がある人間とのつながりがビジネスにおいても重要になってくるが、アメリカなどではそうした個人的感情をいかに見せずに抜くことができるかが一つのビジネスマンとしての素質となっている。

あなたがココナッツ型文化にやってきた桃型の人間だとしたら、ロシアの言い回しを忘れないでおこう。 「ほほえみながら歩く見知らぬ人とすれ違ったら、そいつはきっと狂っているか...そうじゃなければアメリカ人だ」 p.219

ナイフではなく針を

フランス人の議論好きは後腐れがなくディナーの場でも激しくやる。 日本は超対立回避主義。同じくらいな国はインドネシアとタイ。 イスラエル、フランス、ドイツ、ロシア、オランダなどは対立型

中国では面子を保つ(Mianzi)という概念が日本や韓国と同じくらい強い。これも儒教的概念によるところ。

ミーティングの成功は?

  1. 良いミーティングでは、決断がくだされる
  2. 良いミーティングでは、様々な意見が議論され、熟慮される
  3. 良いミーティングでは、ミーティングの前に行われた決断が正式に承認される。

アメリカ人の殆どがAを選んだ。 一方、フランス人の多くはBを選んだ。 そして中国人と日本人の多くはCの選択肢を選んだ。 多くのアジア文化圏では、ミーティングの基本的な目的は、すでに非公式の対話の中でなされた決断を正式に承認することにある。 そのため、反論をするべき最も適切なタイミングはミーティングの前に個別に会うときであり、みんながいるミーティング中ではない。 p.261

悪魔の代弁者役になりましょう

英語でのディスカッションやミーティングに有効なフレーズ「悪魔の代弁者(devil’s advocate)」

Well, let me play devil’s advocate here

こうして自分の発言と発言の理由に自覚的である限り、つまり自分の行動を少し言語化して相手に伝えるだけで行動の受け取られ方を帰ることができる。

遅いってどれくらい?

日本に住んでいても、時間を守る人、守らない人、連絡をする人、しない人が別れている。

ただ、それは海外でも同じ。

いや、むしろ海外の方が大きいのでは?

直線的/柔軟 な時間

資本主義的、産業革命が起こった国では、ものごとが物事が運ぶとおりに進まないとうまく行かないことが多い。 人やモノが遅れて届くことはほとんどシステムの問題ではなく、それに関与した人間の怠慢であることのほうが多い。

逆に発展途上国ではそうはいかない。 行きたくても天候で動かない電車、気候に左右される畑仕事。 そんな生活では直前の出来事が大きく次の予定に影響するために”柔軟”でいないとやっていけない。

直線な国は、ドイツ、スウェーデン、日本など。 逆に柔軟な国はおおかた予想されるとおりだが、中国、インドなど ヨーロッパではスペインやイタリアがやや柔軟な国に入る。

インドでは列が「幹」になるという。 樹木のように枝分かれして幾分にも増えていく。 なぜだよw