樹盗
木材の10億ドル闇市場と環境保護・地域社会・文化の絡み合いを深掘り。深く調べつくした取材、異彩を放つ人物たち、森林伐採史、政策分析、最新の樹木科学ー陰謀、犯罪、そして森林の内部に隠された信じがたい複雑性へのスリリングな旅に読者を誘う異色ノンフィクション。
おすすめポイント
- ☑アメリカで起こる盗伐の問題
- ☑環境問題と労働者問題の根源に迫る
アメリカで起こるレッドウッドの盗伐。単純な利益目的の構造とは言い切れない、土地の帰属問題や環境問題、人権問題を含んだ複雑な盗伐になってしまっていた。DNA分析やドローン、自動カメラでも防ぐことのできない盗伐の根本的な部分に迫るノンフィクション。
樹盗
第1章 根
- 北米では、毎年10億ドル(1500億円)相当の気が違法伐採されていると推定される
- 盗伐を見つけることも難しいし、その木材の価値、失われた損害を求めることはもっと難しい
- 環境の点などが絡んでくるため
- CITES(ワシントン条約) によって保護されている3万8千種のうち3万2千種が植物種だが、カリスマ性で動物に負けて保護の予算は降りにくい
樹木の保護を含む、環境/経済政策は樹木に頼って生き延びている労働者階級を置き去りにしてしまっているのだ
地元住民も置き去りにされることが多い 公園の土地と地元住民が慣習的に使用している農場の区別が判然としていないために、地図に記された公園の土地に入ったものが矯正医的に不法占拠者にされて立ち退きを迫られたケースも多い
そもそも森林の保護はイギリスの地主が自分が狩猟(ハンティング)を楽しむために獲物を取らせないようにする規制から始まったといわれている
今回の物語は世界で最も背の高い木、レッドウッドとそれが生育するアメリカ大陸西海岸を舞台にしたもの。
1850年にはレッドウッドは鉱物資源と同じように重視され「赤い金塊」ともいわれるほどに重宝された
自然に対しては地方居住者よりも都市居住者たちのほうが後ろめたさを感じやすいという(森林社会学者ロバートーリー) これが自然への共感ではなく、自然との断絶を招いている
都市居住者は樹木を持続性のシンボルと見て、自然を愛することと木を刈るという行為を対立して見ることしかできず、両立が許されない
抜粋
たいがい木材労働者というのは、会社の汚れ仕事をこなすか、口をつぐんでいるかのどっちかだ。」
p.63
実際に末端の労働者は切り捨てられるしかない存在で汚れ仕事をこなさなければ仕事を失うしかない。
「私達は地元の人々が参加する解決策を必要としているんです。」 と彼女は行った。
「お金はくれなくていい。仕事が必要なの。働いているというプライドが―――」。
p.68
幹
盗伐はわかっていても食い止められない。 膨大な森林の中からどれが次に切り倒されるかなんて予想することはできず、ただ、切り倒されたか幹が傷つけられたレッドウッドを見つけることしかできない
盗伐されたレッドウッドは製材所に送られて家具や楽器になる。
製材所のやつらもレッドウッドが盗伐されたかなんてすぐに分かるはずなのに、自分は知らないとばかりに買い取って売るだけのやつらばかり
レッドウッドの生える森は大麻栽培にうってつけの環境でその環境づくりのために伐採されるレッドウッドもある
巨大な盗伐材の闇市場
ペルーからの木材の行く先はアメリカかもしれないけど、東南アジアの盗伐材は日本へ。
宮崎県の盗伐材は国産材としてブランディング化されて。。。
日本で問題となっている盗伐はアメリカの先住民族や環境問題を根源としたものとは一線を画しているのでは?
ただ単純に、外資なのか、日系なのかはわからないけれどもよからぬ大人たちがとくに大した大義名分もなく、落枝て稼ぎたいがためにやっているのでは。
日本でも同様のドキュメンタリーがあってほしいと感じてしまう内容だった。