山村に住む、ある森林学者が考えたこと
長年現場に携わってきた林業従事者かつ、大学で教鞭を執る研究者が見た日本の山村の現状とは。国際的な視点も交えての課題と提言。
おすすめポイント
- ☑森林ってなに?て人の本
京大の林学科の教授が定年後にコロナ禍でやることがなくなって、過去の知識をつかってだらだらと知っていることを(少しわかりやすいように)書いた本。 参考文献もなければ、当然科学的なエビデンスには乏しいのでおじいさんの随筆日記みたいな形。 わかりやすく読めるので楽しめる。
山村に住む、ある森林学者が考えたこと
はじめに
日本は木の国
1 森と川との関係
京都の北山という森林がたくさんあるところの林業家出身、京大農学部卒
2 日本林業の実態
林業の場合は、生産期間50-60年のうちに一度は相続税がかかる。
このときに立木の価格にも相続税がかかるので、製品になっていない間に多い場合は2回以上も相続税を払わないといけない。
近年は相続税の基礎控除が高くなったことに加えて、立ち木の評価額も低いのであまり気にしなくて良くなっている。
固定資産税は1haあたり2000円程度だが、保安林指定の森林は免除される。
3 外国林業の強さの秘密
日本のバイヤーは各地の最も良質な材を買ってくれるお得意様。
Jソートと呼ばれる日本クオリティの材に分類される。
ニュージーランドは短伐期施業
ネピアはニュージランド南島にある小さな町の名前でそこからユーカリの木材やパインなどを使ってティッシュが作られている
4 日本の森林・林業政策について
2006年には、「新生産システム事業」によって、従来日本には存在しなかった、近代的大型製材工場を作り、建築用材の大量生産を目指した。
間伐材は川下にとっては安定供給だが、川上にとっては安い価格で買い叩かれているだけである。 しかも、伐採できる森林が奥地化していくと費用は上昇するので持続可能であるかはわからない。
5 これからの日本林業の可能性
朝鮮人参はカナダでは森林内で栽培が行われているので、盛んな島根県の栽培家のアドバイスを受けて林内での栽培を試みている。
第234回 ジンセン ~朝鮮人参~ | チベット医・アムチ小川の「ヒマラヤの宝探し」 チベット | 風の旅行社
6 海外の住民と森とのかかわり方
やっぱり海外の人のほうが、留学生との交流を通しても「森」への距離が近いのを感じる。
日本の学生のほとんどは森に休みの日に行こうとしないが、海外の多くの人は森が好きな印象だ。
7 新しい森づくりと林業に向けて
レクリエーションとしてもっと森ですごす機会が増えるといいね。
グランピングではなく。