世界の巨樹と絶景の森
おすすめポイント
- ☑世界の絶景の杜を知れる
- ☑遺された大地の遺産
- ☑写真も美しい
屋久島にいって自然の壮大さに圧倒されてもまだまだ世界にはたくさんの豊かな自然が(ぎりぎり)残されている。 世界は広い。まだまだ知らないところがたくさんあるし、行ってみたくなる場所が増えた。
世界の巨樹と絶景の森
目次
- エバーグレーズ国立公園
- ケラーヴァルト・エーダーゼー国立公園 ドイツ
- シュヴァルツヴァルト ドイツ
- エル・ティエンブロ スペイン
- エルチェのヤシ園 スペイン
- ローマ イタリア
- 日本
- 阿里山 タイワンヒノキ
- ベトナム フォンソン キワタノキ
- ダナン・バレー国立公園 マレーシア
- インド チェラプンジ
- 南アフリカ ジャカランダ並木
- イエメン ソコトラ島
- オーストラリア ラミントン国立公園
- コロンビア ココラ渓谷
- パンタナル保全地域 ブラジル
- おわりに
エバーグレーズ国立公園
ラクウショウ(別名「ヌマスギ」)で有名なアメリカのフロリダ州にある公園。 もともとの面積の20%しか残されていないがそれでも四国の1.5倍程度の大きさがまだ残されているたくさんの生物の住処。
ケラーヴァルト・エーダーゼー国立公園 ドイツ
ヨーロッパブナ European beech(Fagus sylvatica) ドイツ、ヨーロッパのブナは日本のブナと少し違う。 そもそも山地の少ないヨーロッパはブナも平地に生える。
幹が雪で曲がることもないので樹高が低く幹が太いブナが多くみられるという。
シュヴァルツヴァルト ドイツ
欧州トウヒ Norway Spruce [Picea abies] 黒い森を意味するシュヴァルツヴァルト。
密生したオウシュウトウヒの木々によって黒く見えるのがその名の由来。
葉樹やモミなどの多様な樹木からなる森林であったが、19世紀半ばに落建築材や楽器に使われ、植林樹にオウシュウトウヒを植えたことでこの警官が生まれた。
オウシュウトウヒの特徴は寒さに強く50mにまで成長する。
スウェーデンのオウシュウトウヒには樹齢9550年の個体も確認されたという。
- クリスマスツリーの木にも使われる
エル・ティエンブロ スペイン
ヨーロッパグリ Sweet chestnut [Castanea sativa]
お菓子に使われる「マロン」はこの栗が主。 原産地はバルカン半島であるがローマ時代頃から広くヨーロッパに伝わった。
ヨーロッパクリは日本の栗とは異なり亀裂が縦ではなくらせん状にはいるという。
エルチェのヤシ園 スペイン
ナツメヤシ Date palm [Phoenix dactylifera] ヨーロッパ最大のヤシ園として古くから知られるエルチェの椰子園 園内には1万本以上のナツメヤシが植えられており、古いものは樹齢300年以上、高さが25mを鼓すという。
高い木のてっぺんのほうにまで登って人工授粉するのがかつてから行われているというのがおもしろい。
ローマ イタリア
イタリアカサマツ Stone pine [Pinus pinea]
ローマのいたるところに植えられているイタリアカサマツ。 最大25mの高さまで成長し、傘状の樹形は見る目を引く。
スペインとポルトガルでは種子を食用とするらしい。
街路樹としてローマ中に植えられているものの、松かさは非常に大きく硬いため毎年のように事故が起こっているらしい。 怖すぎるって。
日本
日本の紹介されている森林・樹木は
- 実相寺(山梨県)の日本最高齢エドヒガン
- 白神山地の原生的ブナ林
- 上高地のカラマツ林
- あしかがフラワーパークの藤の木。16万本の花序がある
- 屋久島のスギ
そして
函南原生林 静岡
アカガシ Japanese evergreen Oak [Quercus acuta]
アカガシに馴染みのある人は相当樹木が好きな人。 ドングリを取りに行ってもほとんどアカガシが生えるような森林は子供にとっても親にとっても人気がない。
ただ、有史以来アカガシは人間に利用され続けてきた木で巨木が残っている例は少ない。
ここ、函南原生林は江戸時代から不伐の森として保護されてきた結果、樹齢500年を超す巨木のアカガシがみられる。
お次は台湾
阿里山 タイワンヒノキ
TaTaiwan Cypress [Chamaecyparis fomosensis] 日本にもなじみの深いタイワンヒノキ。
統治時代に明治神宮や東大寺大仏殿の建築用材として使われた。 その際に大規模な森林鉄道が建設されたのが現在も残っている。
しかし、現在は伐採が禁止されているため日本の寺社仏閣の再建資源の確保は難航している。
タイワンヒノキはヒノキに比べてヒノキチオールという”ヒノキ”の香りをたくさん含み、材がやや赤みを帯びていることから「ベニヒ」ともいわれる。
ベトナム フォンソン キワタノキ
Red Silk-Cotton Tree [Bombax ceiba]
ベトナムの首都ハノイの南に位置するフォンソンは仏教の聖地としてられる。 なかでも旧正月の2月ごろに中国やかっこっくから多くの人が巡礼に訪れる。
これと同時期に赤く鮮やかな花を咲かせるのがキワタノキ。
ダナン・バレー国立公園 マレーシア
- メンガリス Mengaris [Koompassia excelsa]
マレーシアの右端、ボルネオ島の東側に広がるダナン・バレー国立公園
希少な原生林が残されており、オランウータンやマーブルキャットなどの貴重な動物が生息している。
とくに有名なのがキャノピーウォークだが、これはメンガリスという樹齢が80mにもなる木の27mの位置に総延長300mほどのつり橋を設けたもの。
上から森林を観察できる貴重な場所であるが、したばかりでなく、上も見てみたい。
圧倒的な高さと白い樹皮で存在感抜群のメンガリスがそこにはある。
インド チェラプンジ
- インドゴムノキ Indian rubber tree [Ficus elastica]
インド北東部の都市チェラプンジは世界的な多雨地域として知られている。
1860年8月から1861年7月の1年間には26,461mmという世界最高の年間降水量を記録した チェラプンジ - Wikipedia
雨で河川が度々増水するため、簡単な端ではすぐに流されてしまう。
そこでこの地に暮らすカシ族の人々は生きたゴムの木の根を橋として利用する知恵を身につけた。
インドゴムノキの根っこの一部を川の対岸まで10数年かけて誘導することで橋として機能させている。
古いものでは500年以上にもわたって使われ続けているという。
南アフリカ ジャカランダ並木
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プレトリア Jacaranda [Jacaranda mimosifolia]
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南アフリカの首都プレトリア
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街路樹として葯7万本のジャカランダ(キリモドキ)が植えられているため別名「ジャカランダ・シティ」とも
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10月ごろに落葉したジャカランダの花が一斉に咲き、世界中を魅了する
イエメン ソコトラ島
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リュウケツジュ Dragon's Blood Tree [Dracaena draco]
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ソコトラ島は紅海の入り口付近に浮かぶ「インド洋のガラパゴス」として知られる島
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樹皮から取れる赤い樹脂から名前がとられた
- 古代から薬草や染料として使われている
- 古代から薬草や染料として使われている
オーストラリア ラミントン国立公園
- ナンキョクブナ Antarctic beech [Nothofagus moorei]
オーストラリアにブナの森林があるとは知らなかったが、ブナの森林だけど、ブナではない。 学名にも「似て非なる」を意味する”Notho” が入っており、北半球のブナと葉や生息環境、どんぐりまで似ているが、属は異なるという。
ただ、余談ではあるが、本来の学名は「南」を意味する”Noto”にする予定であったが、何らかの手違いでこうなってしまったらしい。
ナンキョクブナはオーストラリアの東岸ラミントン国立公園やその付近だけでなく、ニューギニアや南米大陸の南端にも自生しているという。 アフリカ大陸には自生していない。
コロンビア ココラ渓谷
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キンディオワックスヤシ
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Quindio Wax Palm [Ceroxylon quindiuense]
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コロンビアの国樹
椰子は海岸沿いに生えるイメージが強いが、実際はそうでもないらしい。
この椰子は樹齢1200年、樹高50mまでにも成長する。 ココラ渓谷という標高が1800m以上もある高原の霧の中にたくさんのヤシが生える光景は圧巻である。
かつては幹を覆うワックスがろうそくの原料に、果実を食用に、幹を建材にと利用されていたが、伐採が進み近年ではその個体数現象が危惧されている。
- ペルーでは現在も伐採が続けられている
- コロンビアでも大部分のキンディオワックスヤシはこういった牧草地にのみ残っており、若い個体が牛などに食べられてしまう問題がある
パンタナル保全地域 ブラジル
- パウダルコ
- Pink Ipe^ [Handroanthus impetiginosus]
この本の中に美しい写真はいくつかあったけれど、自分のなかで一番惹かれたのは満開に咲く花々の写真だった。中でも
一方で存在感が堂々としているのはこのパウダルコだ。
- パウダルコ
- 中南米原産の高木
- 超克や建材、薬用や庭園樹として利用
- パラグアイの国花
パンタナル保全地域は南アメリカ大陸のほぼ中央部にある世界遺産の湿地帯。 雨季の間は高さの80%にまで水位が上昇する地球上でもっとも水量が多い平原。
カイマンなどの野生動物が数多く生息する。
おわりに
この本では全部でおそらく50を超える森林が紹介されてきた。
日本意外に目を向けると多様性の宝庫といえるべき様々な森林がある。
でも、それらひとつひとつはどれも同じように変化の波にさらされている。 人間活動の変化によって観光客が増えたり、気候変動や森林破壊による現象など。
僕らがこうした森林を見続けられて、次の世代に残していきたいと感じた。 かつてあった遺産にならないように。そしてまずは自分の目でこれらの自然を見に行きたいと感じた。