ぼくは猟師になった

著者: ---
読んだ日: ()
出版時期: 2008-09-21
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獲って、さばいて、食べる。狩猟8年目、33歳の猟師の暮らし。京都に住む若者は、いったい何を思い猟師になったのか?自然と共にある生活から、現代の食卓を見つめなおす。獲物の解体や、調理方法、ワナのメカニズムを写真と図で詳細に解説。猟師の1年間の生活に密着できるエッセイ。
楽天Booksより引用

おすすめポイント

  • 京都でこんなわくわくするアクティビティがあるなんて

ぼくはどうして猟師になったのか。なぜ猟はわくわくするのか。生きていくんだからなにかの犠牲の上に成り立っていることは否定できない。これをもっとも理解できる営みの一つが、狩猟だろう。決して、猟銃などで人殺しをして「犠牲の上にー」などと言ってはいけない。それでは監獄の中でしか生きていけない。

ぼくは猟師になった

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僕が狩猟免許を取りたいと思うきっかけとなったのは、彼の最近の著作を読んだときだったと思う。

もともと、森林のことを学んだり、実際に山の中を歩いたりしていると、シカがたくさんいるという現状とディアライン^1や食べられてしまったあとがある植物、シカが嫌って食べない植物ばかりが生えている森を見たりすると、何かとかしなきゃいけないと思ってた。

でも、それはぼくじゃなくて、誰かがやってくれるようにしなきゃなあ。みたいに思ってるだけだった。

だって、狩猟はきついし、金もかかるし、免許もいるし、

まあとにかくハードルがたかすぎるよ。

そんなふうに思っているのを変えてくれたのは、千松さんの暮らしぶりを見たときだった。

狩猟って楽しそう。

とくに、スーパーで買う、屠殺された”肉”を買う生活は高いし、動物の命を食べている実感がうすすぎた。

「自分で食べる肉は自分で責任を持って調達する」

肉だけじゃない、他のものもそうであるべきだけど、できるところを増やしていきたいじゃないか。

しかも楽しいんだし。

そう思わせてくれたこの本。

^1: シカの首が届く地上から1.5mの範囲内の植生がほとんどなくなってしまい、林内の視界が見渡しやすくなっているライン

獣医になりたかった

幼い頃からいきものとふれあっていた千松さんは国語の授業で読んだ戦時中に殺された動物の話で、人間のエゴを感じたそう。

ゾウに毒の入った餌を与えるが、ゾウたちは餌を吐き出してしまい、その後は毒餌を食べないために殺すことができない。毒を注射しようにも、象の硬い皮膚に針が折れてしまうため、餌や水を与えるのを止めて餓死するのを待つことにする。ゾウたちは餌をもらうために必死に芸をしたりするが、ジョン、ワンリー、トンキーの順に餓死していく。ふと空を見ると、敵の飛行機が飛んでいた。飼育員たちは、「戦争をやめろ」などと怒鳴っていた。

かわいそうなぞう - Wikipedia

ただ、動物愛護ではなく、人間のエゴで食べる生き物と食べない生き物を区別する姿勢が嫌いであったことから、平等に同じ思い出食べることが大事だと中2の頃から思っていた。

吉田寮での暮らし

大学の授業にもサークルにもいけずに寮の仲間と飲んだくれる毎日。

休学してバックパッカー。

外国人と現地人の違い、当事者意識、責任感から海外放浪への情熱が冷めて自分の生まれた土地に責任を持って暮らしたいと思い始める。

そこで仕事先であった角出さんとであってワナ猟を教わることとなる。

獲物をバイクの後部座席に縛り付けて持って変える

シカを取ったはいいが、バイクで来たので後部座席にのっけてみんなから奇異の目で見られながら、吉田寮に持って帰って大宴会。

卒業とともに引っ越し

学生寮から岩倉へ

就職先は角出さんのいる運送会社。

駐車場の一角で解体作業ができるという狩猟への理解が半端ない仕事先。

羨ましすぎる。

彼の仕掛け

使っている仕掛けは

  • 軟性鋼鉄ワイヤー4mm
    • 工業用油を染み込ませていないタイプをカシやクスノキなどの樹皮と一緒に住時間以上煮込んで匂いを消す
  • 塩ビ管
    • おなじく樹皮を煮出した液体に使う前までずっとつけこんでおく

くくりわな

イノシシの胸の中央、肋骨の合わせ目から心臓に向けてナイフを突き刺しました。 心臓の①は前足の付け根から後ろの方へ指三本文と言われることがおおいが、 何頭か処理をしていくうちにけんとうがつくようになります。

横から就いたほうが肋骨の間を通せばよいので突き刺しやういのですが、ぼたん鍋に最適で、いろいろと重宝するバラ肉に傷がついてしまうので、 あえて胸の中心から突きます。

さきに頚動脈を切って放血したほうが心臓がポンプのかわりになり、よりキチン土地が抜けるのですが、イノシシの場合、 意識を取り戻して反撃してくる危険性があるので 僕はまず心臓を突くようにしています。

p.96-97

おわりに

猟も経験から学ぶことが多いようだ。

いろいろと古い制度も多く残る狩猟文化にいかに順応していくか。

そしていかに楽しむかが大事だろう。