脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題
「2050年脱炭素」に向けて舵が切られた日本。しかしその実態は、世界の潮流から大きく取り残されている。欧米では野心的な削減目標を掲げ、数百兆円規模を脱炭素に投じている。既に再エネが最も安い電力となり、EV化を進め、送電網などインフラ整備を強化、コロナ危機で傷んだ経済からの「グリーンリカバリー」を加速している。だが、日本では「失われた30年」の課題が次々と浮き彫りになり、大幅に遅れを取っている。異常気象が頻発する待ったなしの気候危機。ピンチをチャンスに変えるために、いま何が必要なのか?NHKスペシャル『激変する世界ビジネス“脱炭素革命”の衝撃』BS1スペシャル『グリーンリカバリーをめざせ!ビジネス界が挑む脱炭素』など数々の番組を制作してきたプロデューサーによる渾身の提言。
おすすめポイント
- ☑脱炭素へ若者が、社会人が知るべき話題
NHKの職員がますめでぃあをとおして伝えようとしてきたもの、伝えたもの、伝えられなかったものたち。
脱炭素革命への挑戦 世界の潮流と日本の課題
止まらない「脱炭素」の潮流
カーボンニュートラルの発表。 EV化 グリーンリカバリー
なぜいま、グリーンリカバリー
コロナで貧困は加速化し、2030年までの貧困の撲滅はほぼ達成不可能になった。
中国ですら脱炭素
2020年9月習近平が2030年までに排出量減少、2060年までのカーボンニュートラルを目指すと表明した。
「共通だが差異ある責任」という考え方はあれど、欧米と足並みを揃える動きを見せたことに衝撃が走った。
日本の削減目標は評価されていない
30年までに46%減少。 今までの目標を7割引き上げる大胆な目標だが、欧米に比べると弱い。
米は50~52% 英国は68%
2013年は火力発電が多かったので、1990年比に置き換えると39%にすぎない。 逆に各国はそれまでに大量に出していたから割合が大きいという意見もあるだろう。
todo
米での脱炭素は”Just transition" 雇用の創出と一体して行われる。 そして、中国を意識したメイド・イン・アメリカ
海外企業の取り組み
マイクロソフトやApple
きっかけは2012年のグリーンピースによる報告書「How clean is your cloud」 IT会社の電力の環境配慮を評価し、アップル、アマゾン、マイクロソフトに対するネガティブキャンペーンを実行した。 そこから1ヶ月後、全米4箇所のデータセンターを100%再エネで賄うことに決め、5年あまりで再エネ100%を達成した。
フランスの資金供与における「条件付」
コロナ禍で経営不振に陥ったエールフランスに対して70億ユーロを融資するかわりに
- 2024年までの国内線のco2半減
- 飛行時間2時間30未満で大体の鉄道がある国内路線の削減 を課した。
「Farm To Folk」
2030年までに有機農業の農地面積を25%にするという戦略
日本では食料分野と脱炭素との関係性がよく理解されておらず、取り組みが少ない。 Veganの少なさもその現れだろうな。
カーボンプライシング
経産省と環境省であわない。 経産省はトップリーグという任意参加のクレジット市場を創設する案を示した。
炭素税や燃料税は「車しか移動に使えない人」や「別の産業への転換を迫られる人」たちの補償や資金還元をしっかりとして公正な移行に気を配る。
英国では脱炭素の教育がすでに行われており、若い世代の意識や意欲が強い。
この10年あまりの”素地”の差が、今後ボディブローのように効いてくるのではないか。 p.66
金融の変化
GDPの1%程度を気候変動対策にまかなえばよいが、対策を行わないと10~18%もGDPが失われるとの推測
石炭への投資をまだ続けるメガバンク3行
みずほでは石炭火力への融資を厳格化した。 ただ20年時ではいずれもトップ3のまま。
石炭は黒いダイヤとい呼ばれてきたが、今では覚醒剤に投資することと同じくらい悪者になっている。
ロックフェラーもエクソンモービルからダイベスト
JPモルガン・チェースは2030年までに270兆円以上の投資を行う桁違いの投資を発表した。
CDPによる公開書簡
非財務情報
- 気候変動
- 水
- 森林
- 生物多様性 そして今後
- 海洋 が加わる。
トリプルAは花王と不二製油のみ 他10社
気候危機に迫りくるティッピング・ポイント
ティッピング・ポイントは1.5℃から2℃? 早くて2030年、予測の中央値として2040年に1.5℃上昇が来る。
ブラック・ロック(金融の巨人)はまだまだ悪化に加担する側にいる。
日本は追いつけるのか
イオンは国内売上高8兆でトップ。 全国1万9000店舗
JCLP(日本気候リーダーズ・パートナーシップ)に加盟している企業
todo
イオン脱炭素ビジョン2050 Re100に小売大手として初加入。 イオングループの電力消費は日本の総電力の1%、実に原発1基分。 電力会社への相当なプレッシャーが掛かる。
PPA方式でまずは電力を確保する。 屋上のスペースを関電に無償で貸し出して不足分は再エネ調達する。
再エネを増やしたくても、送電網が理由で増やせない、送電網に繋げられず作った電力が無駄となる。など
電力業界は大規模発電社・事業者に有利な「容量市場」だという。
規制の壁
電力の規制は専門的かつ複雑で、新規参入者の理解は難しい。 テクノロジーとマンパワーで解消できない規制がたくさんありすぎる。 ソーラーシェアリングは規制緩和された。
洋上風力は海運や漁業関係者との調整が難しい。
風車の世界シェア
- GE 米
- ゴールドウインド 中国
- ヴェスタス デンマーク
- エンビジョンエナジー 中国
- シーメンスがメサ ドイツ・スペイン
コンデンサーメーカーもがんばっている。 今やサプライチェーンへの要望も高くなっておりSCOPE3を目指すには部品調達の部分まで供給先が限られてくる。 太陽誘電
1000km1回の充電で走れる回生・駆動バッテリー自転車
産業界も挑むCN
クライメートアクション100+ CA100+は今や運用資産額5900兆円の機関投資家が集まり、世界の排出量の80%を占める企業167社を対象にアクションを求めている。 日本では、トヨタ、ホンダ、日産、スズキ、パナソニック、東レ、ダイキン、日本製鉄、ENEOS
どうする製鉄業界
co2排出は国内の14%、製造業の4割を占める「排出の巨人」 化学業界の2倍、年間1.6億トン
鉄鉱石の炭素CとO2を効率よく取り除くときに、CとO2がくっついてしまいCO2となる。
鉄鋼連盟、トップの日本製鐵は2050年カーボンニュートラルを宣言。
コークスではなく水素を使った水素還元鉄でやるのがメジャーになってくるか? それと電炉への転換。 鉄スクラップを幻聴として精錬・鉄鋼にする このときに再エネを利用すれば排出量を抑えることができる。
飛び恥の航空業界
SAF 持続可能な航空燃料。 バイオジェットなどはすでに就航済みだが、100%はまだまだない。 ANAはフィンランドのエネルギー企業ネステから食品廃棄物などを原料とする燃料のSAFを調達。
藻類からのバイオジェット燃料も注目される。 バイオベンチャーちとせ IHI
EV化
トヨタくんは未だ否定的な部分が強い。 E-Powerの日産やHondaは内燃機関とおさらば決意。
ファッション・食料システム・建築の「衣食住」
航空産業よりも大量の排出をするファッション業界はフランスを中心としたハイブランドが変革の兆し。
Farm to Folk
具体的な柱は4つ
- 持続可能な食糧生産
- 持続可能な食料加工と流通
- 持続可能な食品消費
- 食品ロスと廃棄の防止
肉食から代替肉への転換、畜産をやめよう。 農業起因の森林伐採を食い止めようというムーブが主流。日本では森林跡地が農地になることは少ないのでは?ゴルフ場、茶畑だけ?
日本の「みどりの食料システム戦略」
21年農水省発表。
- 50年までに農薬使用量半減!
- 有機農業面積25%への拡大(現在0.5%wwww)
- EUよりも後ろ倒しの目標でも実現可能性は低い
- エリートツリーでがんばる
- ネオニコチノイドどうする
- ドローンでの農薬使用量削減やAIを活用した診断などの技術革新も盛り込む
フードロスの削減が大事
日本人の年間フードロスは612万トン 毎日大きめのおにぎり1個分を一人ひとりが捨ててしまっている計算。
オリンピックの会場ですら13万食のお弁当が廃棄された。
米でも地球温暖化の解決策として効果の高いものランキングの3位にフードロスの削減が入った。 1位と2位はそれぞれ、冷媒(フロン)対策、陸上風力発電(これはアメリカだから)
日本のすまいは断熱性能を上げて冬の電力消費を下げられる
ZEB/H (net zero energy buildings/House) これにNearlyや~ readyなどもある。
断熱性を上げることにインセンティブを設けるべき。
ターコイズ水素: メタンガスから生成される水素 順にグリーン、グレー、ブルー(化石燃料由来)、ターコイズ
アンモニアはどうだ
アンモニアは水素より扱いやすい。 液体化のためにはマイナス33でよく、水素の235度ほど設備やコストがかからない。 今は石炭発電の20%をアンモニアの混交ガスで燃焼させているが、将来的には専焼させることが目標。
ただ、アンモニアの燃焼はNOxというCO2の300倍もの影響のある温室効果ガスを排出する可能性もある。
原発
原発はまじで対策ちゃんとせんとやばい。 まじで菅直人がやばすぎたら東日本一体が全て終わっていたかもしれないと笑えない。 地震大国日本ではいい場所も、廃棄物処分場も見つからなくてトイレなしマンションはやばいよね。
どうするのがいいか。 核融合を待つのがいいか?
ライフスタイルも変わる
売ることを主目的にしないマルイ
ものではなく、ライフスタイルを売る。クレジットカードを通して...
book
ドーナツ経済学が世界を救う 希望の未来への招待状: 持続可能で公正な経済へ
資本主義内部からの改革
「サステイナブル資本主義」や「ステークホルダー資本主義」株主の利益だけではないものを求める動き
ただ、それに反対する株主の動きもある。
世界の富裕層トップ10が全体の半分のco2排出をして、下から50%の人はわずか10%しか出していない現実に、この明らかな不公平に資本主義は立ち向かえるのか?
ダスグプタレビュー
todo
いまが日本のラストチャンスなんだよ
- 有事対応が苦手な日本
- すでに環境先進国ではなく、化石賞を受賞する座標資産を抱えた国
- ダイバーシティーの欠如とオワコン教育(とその労働環境)
- 縦割りー アプリじゃなくてOS、基盤を変えるんだ!
僕らにできる小さな一歩
- マイボトル、エコバックでプラスチックを減らす
- 金融機関を選ぶ
- 再生可能エネルギーを使う
- 消費者としてサステイナブルなブランドを選ぶ
- 3R + Refuse
- 公共交通機関に乗る
- シェアリング(車/宿)
- 木を植える、木を使う、屋上やベランダ緑化
- 建物の断熱化
- フードロス削減、フードマイレージ、コンポスト
- 魚肉を控える
- 声を上げる、政治家を選ぶ、行政に訴える
- 税制、規制を変える!
3.5%の人が立ち上がれば全体は動き出す。 僕らが一致団結して3.5%の一人になる。 そのムーブメントを大きくしていく。
これが将来世代を救うための大きな鍵となる。