桜のような僕の恋人
美容師の美咲に恋をした晴人。彼女に認めてもらいたい一心で、一度は諦めたカメラマンの夢を再び目指すことに。そんな晴人に美咲も惹かれ、やがて二人は恋人同士になる。しかし、幸せな時間は長くは続かなかった。美咲は、人の何十倍もの早さで年老いる難病を発症してしまったのだった。老婆になっていく姿を晴人にだけは見せたくないと悩む美咲は…。桜のように儚く美しい恋の物語。
おすすめポイント
- ☑本屋大賞受賞作
あるある彼女が死んじゃう系恋愛ばなし。
桜のような僕の恋人
Amazonでめちゃくちゃ評価が高くてなにか本を読んでみようかと思い立って買ってみたはいいものの 本棚の肥やしとなっていた。
ふと桜が咲くこの季節に思い出し、桜の木の下で読んでみた。
めちゃくちゃおしゃれなことをしていたためにさぞ、本の内容にも酔いしれられるかと思いきやまったくその気配がなかった。
登場人物に悪役がいないことだけではなく、 ドラマとかを見ている際につい共感性羞恥のように 「おまえ、こんなところでそんなことするなよ!」って言いたくなるような場面すらないので 非常に万人受けするような作品であった。
しかし、その分ありきたりで内容が薄くなってしまう。
これが映画化されるということであるが役者さんたちはおそらく高感度爆上がりになること間違いなしなのでオファーが来たならば絶対に受けたほうがいいと思う。
最近はいわゆる恋愛余命系で”me before you" を見たが、これと似たような雰囲気だった。
いろいろと違う部分もあるから一概には言えないけれども、彼女の告げられた病名に対しての 周りの人々のアクションがなんだか感情移入することができなかった。
この理由として挙げられるのは彼女の病気の特殊さにあって、もしかするとSF的に受け取ってしまったからかもしれない。 それほどに非常にまれであって、現実離れしたほど深刻な症状となるため一部の読者はおいて枯れてしまったんだと思う。
感動的なラストに関しては気遣いのできる女性感が出ていて泣ける雰囲気があったけれども、別に美咲さんはそこまで気遣いできる人的なオーラを出しているわけでもなかったし(車道側をデート中に歩かせるやり取りや一人暮らしを枝葉とする麺などはあったけれども) なんだか、あれほどまでにバッサリと関係を切ったのにもかかわらず 気を使いだして最期だけいい顔見せようとするのかよとも思ってしまった。
まあ、残された男性に深い傷を負わせないようにうそをつくあたりは女性らしいんだろうな。
読書好きには物足りない本屋大賞向けの本。