教養としての決済

著者: ゴットフリート・レイブラント/ナターシャ・デ・テラン/大久保 彩/上野 博
読んだ日: ()
本の価格: 2200
出版時期: 2022年08月26日頃
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Cover Image for 教養としての決済
SWIFTの元CEOが解説する「支払い」の歴史・仕組み・未来。世界を動かすお金の裏側。ビジネスも戦争も犯罪も決済を制する者が勝つ!
楽天Booksより引用

おすすめポイント

  • 決済の歴史と重要性がわかる
  • 銀行よりも今は価値が高いカード会社

日本の決済は、島国とその膨らんだ人口のおかげで独自の性格を持っている。JCBという独自のクレジットカードの国際ブランドを持っている。 しかし、人気は若干下火になっている上、高齢者世代は現金にまだまだ頼りがちだ。 今ではPaypayのようなQRコード決済も普及しており、各社の競争が激しくなっている。 日本はポイント制度で各社がユーザーの新規獲得と確保を目指してしのぎを削る。 こうした日本の面白い状況やSuicaのようなタッチ決済には殆ど触れられていないが、海外のその国特有の決済事情や、決済を制することの意味、そして彼らがどれほどの影響力を持っているかを感じた。

教養としての決済

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決済も「ネットワーク効果 :(それ自体の価値は機能ではなく、ユーザー数によって決まる)」の一つの例である。 このため中国では14億人という人口規模によって決済市場で価値の高いサービスを作り出すことができた。

ケニア

ケニアも中国と同様に一気にモバイル決済が普及した国

エムペサ

固定電話が普及する前に携帯電話にとって代わった国

Mペサは2007年に始まった。 通話時間に対して支払うプリペイド残高を通じて送金を行うサービスである。

今では、現金を引き下ろすためにテレフォンカード業者の窓口に行くと、現金を渡した分の金額がMペサの口座から引き落とされるというATMの仕組みを担うまでになった。

金額ベースで国内GDPの半分をシステムが処理し、年間35回/1人 の取引が行われている。

中国のアリペイとウィーチャットペイ

モバイルウォレットは基本的にはクローズドな環境で資金を循環させている。

QRコード決済は消費者がオンラインである一方で、業者はオフラインであっても構わない

また、アリペイは「独身の日」をショッピングイベントに変貌させ、テンセントはお年玉の風習をデジタルに変えるマーケティングにも長けている。

近年ではモバイル内での投資信託や消費者金融にも手を出しており、信用度をデータで詳しく見ることができる。

ただ、逆に海外進出のハードルは高い。 今は中国人観光客や華僑のような人を対象にマーケットを広げられているが、もっと深いところに入り込むためにはその国の当局による承諾が必要となってくる。