フィンランド 虚像の森

著者: アンッシ・ヨキランタ/ペッカ・ユンッティ
読んだ日: ()
本の価格: 3520
出版時期: 2022年08月24日頃
Amazon楽天上記のリンクはアフェリエイトリンクになります
Cover Image for フィンランド 虚像の森
森と湖の国の暗翳を暴く!絶望の林業の始まりは、ロシアとの冬戦争だった…
楽天Booksより引用

おすすめポイント

  • フィンランド

フィンランド。北欧の幸福度ランキング上位。すべての人の人権が守られて。。。 と思っていたが、現実はもっともっと残酷であった。 皆伐による森林破壊と先住民族サーミへの侵害 :自分の目で確かめて見なくては!

フィンランド 虚像の森

bg h:60% right:33%

Kemera補助金によってフィンランドの個人の森林所有者は支えられている これはフィンランド森林センターが林業を始めようとする個人事業者に申請ベースで下ろす補助金

かつてのフィンランドの森

見渡す限り、森が広がっている。ヨーロッパアカマツがうねることなく、まっすぐ1本の柱のように立ち上がっている。 その周囲には10代の若者を思い起こさせるようなヨーロッパトウヒの苗木がひょろひょろとそこら中にはえている。 若木のヨーロッパトウヒとこぶのついたどっしりとしたセイヨウヤマナラシが隣り合って生えいている。 そして銀色に見えるのは、まるで骨のような枝振りの立ち枯れ木だ。 ここに来ると、どの時期にヨーロッパアカマツが成長し、そして古木になり、古木が立ち枯れ木になるのかを実際に確認しながら学ぶことができる。

p.24-25

国土面積に対する森の割合がヨーロッパ内で最も高く、世界でも11番目 1人あたり4ヘクタールの森林を持つ(サッカーコート6面分)

いまや原生の森を見つけるのは不可能なほどになっている

フィンランド北部ではヨーロッパアカマツの古木は600年以上も生き続けることができ、南部では条件が良ければ300年生きる

現在は樹齢が160年以上を超える気の占める割合が表面積で40%減少

歴史

昔人口の少ないフィンランドは森に所有者はなく共有林であった

1542年にスウェーデンのグスタフ・ヴァーサ王が人の済まない森を国の持つものと宣言した

その後1700年代に共同利用の土地を各人に行き渡るように整理して分割し、王領の一部も土地分割した 残った森は余剰地として国の所有にした

これによって、当時人が住んでいなかったフィンランド東部と北部に国有林が多い

しかし、結局農地大分割が行われてからも、国有林を共有林としてそのまま住人は使った

森林の減少を危惧したため1800年代中盤にフィンランド森林庁が誕生した

1900年代初頭は国有林は自然と良い関係を築くことにあった

しかし、ロシアとの冬戦争によって石油と石炭の輸入が停止し、エネルギーを補うために公私問わず、森が強制的に伐採された。

戦争によって主に南部フィンランドの国有林は伐採され、北部フィンランドも20万のドイツ軍によって踏み荒らされた。

1945年に戦争が終わり、ソビエトとの和平交渉で賠償金の1/3を補うために木材製品で調達することとした

1948年に森林分野に影響力を持つ6名が卓抜を禁止する声明に署名したことで森林”破壊”、再生を考慮しない流れは決定的となった。

1960年代はフィンランドの人々も木が不足していることに気づいてはいたが、「林業の縮小はフィンランドの衰退」につながるため国は産業の需要に答える方向を維持した。 国内での森の利用効率の上昇を目指し、海外輸出を制限。国内ではダンボ洋々の円料として利用していた木質バイオマス燃料から原油へ変える制作方針が提示された。 また、原発で作った電気で暖房を賄った。

同時に1960年から1975年にかけては樹木の成長改善を目的とした国の森林政策プログラムが始まった。 TehoプログラムとMeraプログラムで集中的/形式的な森林育成の管理を確立し、フィンランド全土の全ての森林所有者がこのプログラムの傘下に入った

こうして、フィンランドの南北全土、国有林・私有林全てが画一的に、皆伐と地面の掘り返し、ヨーロッパアカマツのモノカルチャー再造林のプログラムに組み込まれていった。

2008年、フィンランド政府はフィンランド南部の森林生物多様性プログラム「メッソ」を開始。 個人が拠出する土地の保全・維持にかかる費用に対しての補助金を出した

樹皮が成長に連れて暑くなるのは、若い気は太くなるのが早く、樹皮が部分的に剥がれやすく、切れ端となって地面に落ちていく。

しかし、太くなるほど1年で太くなる速度が減り、樹皮を引き伸ばす量も少なくてすむことになる

これによって森林火災などから実を守ることができる

_

フィンランドのは林業先進国ではない、木工産業で経済的にも生産性が高い国がいくつかある中で、数十年育てた小径木をパルプや紙にして輸出するだけのフィンランドは先進国ではないという考え方

エルッキ・ラハデさん

長年にわたり、森の持続的育成や皆伐をしない管理方法の研究を発展させてきた人

森林管理庁に適合しない結果のため、黙殺・左遷させられた

PEFCのなぜ

あぜを作ることが森林の再生と成長を促進し、技術的に高品質の木を生み出すことができる 共有林ホームページ

地面に鋤で爪痕のような筋を入れてあぜを作ると、他の目的で森を活用することが難しくなる

また伐採した土地を造成すると、重金属や土の養分が流域に流れてて周辺環境へ大きな影響をもたらす

このため、フィンランド森林庁はすでに1990年代に土地の掘削を停止したにも関わらず、森林保全教会ではいまも掘削の弊害には触れずに簡単な造成方法を紹介し続けている

こうした強引な方法にも関わらずPEFCという国際的な森林認証制度を受けている これは日本でも相互認証機能のある認証制度で環境に配慮して社会的・経済的に持続的発展可能な林業を推進していることをしめす認証

この方法を続ける理由として他の方法がなかったり、唯一提案されてきた方法であるから惰性で実行し続けているという

スイスでは

スイスで伐採を行うばあい、2つのことを考えなければならない

  1. 成長量
  2. 樹齢

伐採時、どの区画をとっても、いろいろな樹齢のきがなければならない さらに、その区画は広大であってはいけない

フィンランド

フィンランドの表面積の1/3は湿地帯で、そのうちの半分に当たる約600万haは排水して乾燥させた干拓地 森の中の排水路は140万kmあり、地球と月の距離を2往復するのに相当する長さであるという

ヨーロッパの中でも泥炭が多い国(准に、フィンランド、スウェーデン、エストニア、ラトヴィア、リトアニア、ポーランド)のなかでもダントツでフィンランドが一番。

ヘラジカ被害

ヘラジカは前史時代から狩猟の対象であったが、個体数の激減により1868年から保護の対象とされた。しかし、密猟がたえず1935年では3500等前後となっていた。

1950年頃になると個体数は増加に転じた。いまでは10万頭前後に増えている。

森の再生を皆伐と再造林に託したため、植樹したヨーロッパアカマツの苗がヘラジカにとって冬を生き延びる貴重な食料源となった 他にも、ヘラジカのメスの個体数は維持させていたために全体的な個体数はゆっくりと増えていった

ヘラジカの個体数の増加は交通網に深刻な被害を与える。 2001年のぴーくじとくらべると40%程度に現象しているが、2011年以降また増加傾向にあるという。

17年には1824件の交通事故が発生し、3名が死亡、損害は5千万ユーロ(約8億前後)

ヘラジカはヨーロッパトウヒを除いた重要な種を多様に、とりわけヨーロッパアカマツを好んで採食するため、森林の多様性の低下を招いてもいる

さらにヘラジカやその他のオジロジカなどによってマダニが各地に媒介され、脳炎を引き起こす脅威と見られている。

ビルベリー

ビルベリーが映える土地が失われている 1950年代の半分の土地が生育可能な土地となってしまった

ビルベリーはキジや昆虫などにとっても貴重な植物である。

かつては2割程度をしめていたビルベリーもいまでは下草のうちの8%程度を占める存在となってしまった。

中国

中国はフィンランドの森林をかつてアフリカにやってきたような収奪の対象としている。

フィンランドで生産されるパルプのおよそ1/4の量を中国へ輸入しようとしている。

さらに直接フィンランドへ進出している。 ケミヤルヴィのボレアル・バイオレフ社の製紙/パルプ工場の大株主やフィンパルプ株式会社の大株主は中国人である。

フィンランドは材の利用効率が低い。 工場で生産される製紙が現象し、パルプの輸出が増加した。 17年のパルプ輸出の内43%は加工されることなくそのまま輸出されていた。

EUのLULUCF Land-use and Land-use Change Forestry

常識と事実

二酸化炭素排出にならない程度に成長する分だけ樹木の伐採を行うことが必須条件になる こうすることで炭素貯蔵量は安定する

年間伐採量をフィンランド2018年7千万㎥。これを25年には8千万㎥まで増量し、二酸化炭素吸収量を現象させてしまわないか?

木質バイオマスを燃焼させても、二酸化炭素排出される。1メガジュールあたりの排出量は石炭よりも大きい。 木質バイオマスを燃焼させた際に発生した二酸化炭素を貯蔵するには、樹木が成長するのに必要な100年程度の時間が必要となる。

サーミ

2010年、5年の交渉の末、都内回所有者組合とフィンランド森林庁は今後20年間の森林和平を結んだ。

トナカイの放牧にとって必要な森4万3千haを伐採対象から外すことで合意した。

イナリ地方の国有地は合計で140万ha、総面積の80%を超えている。

  • Reindeer grazing areas: 50% of northern Sweden
  • Forestry: Common cause of conflicts for Sami reindeer herders
  • Stakeholders: Forest sector involvement
  • Ownership: Large private corporations (25%), small private owners (41%), State (34%)
  • Sami rights: Prescriptive rights for land use