アイヌもやもや

著者: 北原モコットゥナシ/田房 永子
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本の価格: 1760
出版時期: 2023年12月12日頃
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Cover Image for アイヌもやもや
今を生きるアイヌの姿を、一体、どれくらいの人が思い描くことができるだろう?教科書に載っているのは、伝統的な民族衣装をまとった姿だけ。北海道を舞台にしたドラマにも出てこない。無知、無理解、そして差別が見えにくくなる社会の仕組み…。アイヌをとりまく「もや」の正体を、北原モコットウが徹底考察!「アイヌに会ったことがない」、それって本当ですか?わたしたちの存在、見えてますか?令和に生きるアイヌたちの姿を田房永子が漫画で描く!
楽天Booksより引用

おすすめポイント

  • そこにもしかしたらアイヌがいるかもしれない。
  • 漫画があってわかりやすい

本州で暮らしていると「アイヌ」に関しての実感が一切わかずに歴史の教科書で見るようなあのひとたち、みたいなイメージで終わってしまいそう。 最近はウポポイの問題や、アイヌを先住民族として認める法改正だったり、アイヌを主題にした漫画『ゴールデンカムイ』などで注目を浴びることが合っても、うまくアイヌのことを理解することができにくいのが実情。 そんなぼくらのもやもやと、いまも日本にいるアイヌの人たちが抱えるもやもやを解消できればなっていう本。 個人的には、ウポポイの問題とか、先住民族として扱われることになった経緯とか、北欧の先住民族を参考にした話とかを聞いてみたかったけど、この人の(片一方からの)お気持ちだけを延々と述べられたような気がしてモヤモヤが解消された気にならない。 著者たちの鬱憤晴らしのもやもやかな。

アイヌもやもや

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はじめに

アイヌ問題というとハードルが高くなりがちなので、アイヌもやもやという一見親しみやすいけど、問題がある実態をうやむやにしない言葉を選んだ

言い出しにくい

「アイヌ」であるって言い出しにくい現状があるっていう話。

昔からアイヌに対する偏見が根強くある上、今もアイヌの人たちがいることを知らなかったり、アイヌの人たちは「こういう見た目」だっていうステレオタイプをもっているひとたちがいると、余計に言いづらくなる

ただ、気づかなかったけどマジョリティには名前がなくて、 ぼくらも「男性の方」というかたちで個人として呼ばれるのではなくてそうやってカテゴライズされた名前で呼ばれると「一般化」されたものとして扱われているような気分とか、いわゆる「男性性」に対して持たれる偏見を相手に持たれるような印象があって「うっ」としてしまう気がする。 相手を「アイヌ」と呼ぶことは同時に相手をカテゴライズすることでもあるし、それならぼくらも同じように自分たちを「カテゴライズした名前」で読んだほうが対等な気もしてくる。

著者は「日本人」ではなく「シサム/和民族」という名前を提唱している。

@もちろん、アイヌ問題とかと他の多様性の問題は関係があるのだけど、この人の語り口だとそれらを一緒くたに語ろうとする姿勢があって、明確に区別して対応していかなきゃいけない問題だから、少し疑問があるなあ 解説とかでウポポイ公金問題に対しての話とかしてくれればいいのに「日本すごいね」みたいなTV番組を批判するようなコラムを書いているのでなに?ってなる。いま語っていることにもうすこし関係があることを語ってくれるのを読者は期待していて、あなたの意見演説を聞きたいから読んでいるわけじゃないよ。

差別・ステレオタイプ

「私は差別をしない人間だから」 なんて言う人のほうが無意識に相手を差別するようなタイプだったり、根強いステレオタイプを持っていたりする

北海道旧土人保護法

明治時代に入って土地制度をもたなかったアイヌも含んだ和民族優位の土地制度が作られてから30年後の1899年に「北海道旧土人保護法」が制定された

しかし、すでにいい土地は和民族に与えられていて、和民族は1人あたり10万坪が与えられたのに対して、アイヌ民族には1万5千坪しか与えられなかった。

同時にアメリカから来たホーレス・ケプロンによってアイヌが狩猟に使用してきた「毒矢」の文化が「野蛮で未開(barbarous practice)」としてやめさせるべきとなって、結局毒矢が禁止された。

ほかにも札幌周辺の河川でサケ漁が禁止されたこと

これらによってアイヌ民族は貧困に陥ることが多くなった。

アイデンティティ 私らしさとアイヌらしさ

京都大学などのアイヌ民族遺骨問題も注釈扱いなのでこれはアイヌ民族問題の入門書的なあつかいなのだろーな

マジョリティの優位性

マイノリティへの圧力は、よく足を踏んでいることに例えられる。

踏まれている方は痛くても、踏んでいる方は、踏んでいることにさえも気づかない

さらに、かつての先人がやったという歴史性を表すために 先人たちがおいた椅子が、マイノリティの足を踏んでいるのだけれど僕らは気づかずにそれに座っているという

この喩えはとてもわかり易いものだった。

ぼくらも、身内に向かって「ねえ、踏んでいるよ」くらいの声かけは簡単にできるよね

男性特権のリスト

  1. 昇進に失敗しても、その理由は性別のせいではないだろう
  2. 夜に公共の場所をひとりで歩くことを怖がる必要がない
  3. 責任者を呼ぶとほぼ間違いなく私と同じ性別の人が出てくる
  4. 運転が不注意だからといって、性別のせいにはされないだろう
  5. 複数のパートナーと性的関係を持つからと言って、避難されたり、軽蔑の対象にはならないだろう
  6. 外見が魅力的では二としても、それは大きな問題ではないし、なんでもないことだと思える

これをアイヌ民族と比べた「和民族」に当てはめてみたリストから特に印象的なものを抜き出してみる

  1. 自分の民族的出自を隠さなくて良い、気にかけなくて良い
  2. どこにいても少数派になることはない
  3. 出身地を聞かれたあとに、底にいることを不思議がられない
  4. 「なぜそのような外見なのか」と質問されない

著者の北原モコットゥナシ

北原次郎太 - Wikipedia

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