ごみ収集とまちづくり 清掃の現場から考える地方自治
ごみを収集する人と排出する人それぞれの「顔」が交叉する時見えたものとはー。清掃現場の労働体験と参与観察を通して、「ごみ」をめぐる社会の今を映し出す。著者のフィールドワークの集大成。
おすすめポイント
- ☑一番なりやすい公務員といわれるごみ収集の仕事
- ☑差別の歴史
- ☑彼らに毎朝ありがとうを言いたくなる
ごみ収集の仕事。エッセンシャルワーカーとして。”汚い仕事と思われていても誰かがやらなきゃいけないんだ。”
ごみ収集とまちづくり 清掃の現場から考える地方自治
ごみ収集という仕事。彼らに対して意識を向けた経験はあるのだろうか。
恥ずかしながら、私はほとんど気にかけたことがなかった。
毎週火・金曜日になるとごみを出しに行かなければという思いは浮かぶが、その先の、ごみを出した後になにが起こって燃やされて埋められていくのか、考えを巡らせることはほとんどなかった。
ときたまゴミが放置されているのを見たり、カラスにやられてごみが散乱されているのを見たりするとこうしたごみを誰が掃除するのだろうか?と首をかしげるが 気づいたときにはきれいになっていて誰が掃除しているのか今も知らないままである。
この本を読んでも僕はマンションの遅れてごみを出したせいで?それとももっといけないものが入っていたごみを出したせいで?
残ったゴミ袋を誰が片付けているのか知らない。
この本にはそれについては書いていないのだ。
とはいえ、この本を読んだことで僕は清掃業者の方々により感謝の気持ちが向くようになったし、感謝だけでなくゴミ出しの際も彼らが困らないような出し方をするように心がけるようになった。
これは彼らがコロナ禍でエッセンシャルワーカーとして懸命に仕事をしているという理由だけでなく、彼らの仕事が差別されてきた歴史や今も自ら率先してやりたいと思う人が少ない現状を知ってのことでもある。
第1章 大都市の清掃事業
大都市の清掃事業の実態がわかる。
大都市ではいくつかの地区に分かれて清掃業が分担されている。
彼らの朝は非常に早く7時ごろから始まる。
東京都では作業員の死亡事故が2件起こったためヘルメットの着用を徹底させているようだ。 私の住む京都では未だに実施されていないが
戸別収集では家の前にごみを出すためにごみであるものとごみ出ないものの区別がつきにくいという。 例ではごみの前に簾が置いてあったのだが、たしかにゴミなのか日よけなのか判別しにくかった。
戸別収集は集積所収集に比べてゴミの質は良いが作業員にとっての手間は増加する。
清掃業務の中に老人ホームのおむつ収集もあるらしく、内容物の破裂の危険や悪臭がする点から進んでやりたくない作業もあると知った。
清掃従事者への差別
差別は昔ほど露骨ではないが今でも根強く残っているという。
具体的には
- 住民による清掃従事者への差別
- 清掃従事者間における差別
- 地方自治体内での現業軽視
屠畜場での作業員と似たような雰囲気を感じた。彼らを公務員として採用するかといった問題に対しても同様の課題があった。
女性の進出もあるという。 彼女が入るとやはり清掃従事者の男性の意識も変わるため2重に効果があるという。