和菓子と日本茶の教科書
和菓子の歴史を紹介し、和菓子の本場、京都を代表する和菓子屋の今を知ることができるなど、和菓子に関する盛りだくさんの内容がこの一冊に詰まっています。さらに、和菓子のよきパートナーである、日本茶に焦点をあて、茶葉の紹介からおいしい淹れ方の解説までしています。
おすすめポイント
- ☑和菓子について
日本で有名な和菓子や、それらの有名店を知れる
和菓子と日本茶の教科書
京都の和菓子屋
塩芳軒
これで「しおよしけん」と呼ぶと初めて知った いままで適当に濁してきたので訓読みだったとは。
京都の和菓子屋の中でもとりわけ繊細な味のお店
末富
「亀末廣」で初代が修行した後に1893年(明治26年)に店を開いた 四季折々の上生菓子が人気
紫野源水
大徳寺に近い静かな街にある 京菓子界では新参者だが、シンプルなセンスで人気になっている
「涼一滴」という水ようかんが代表のお菓子 ー ごまをお菓子に取り入れ、白小豆のこしあんをギリギリかたまるところまで観点で寄せてごまを散らしたもの 口に入れればすっと溶けて水のようになる口当たりが味わえる
ミニマムだがどこかモダンな形を和菓子に取り込んだ店
老松
北野天満宮にほど近い上七軒の店 もともとは有職菓子という儀式に用いられる菓子をつくる職人だった一族が、一般向けに明治41年(1908年)に店を開いた
日本の伝統的な素材を使った和菓子ながら新しさを感じる独特の和菓子
「胡桃律」は胡桃を言って半分だけスリ蜜をかけたもの
「橙糖珠」 蜜漬けの金柑にすりみつをかけたもの
どちらもひと目見ただけで想像できないような味とその独特な見た目に惹かれる
嘯月
(しょうげつ) 住宅街の一角に暖簾だけ出す、一見和菓子屋には気づかれない店
見本もなく、作りおきはしないため必ず予約が必要
亀末廣
いかにも老舗らしい町屋造りの木造の店が特徴
1804年創業で古くから二条城や御所の御用達として京都人に親しまれてきた
百貨店などにも出店せず支店もないため、「知っている人にだけ買ってもらえればいいんです」というスタンスで伝統を守り続けている
二条駿河屋
御所西の和菓子屋
「松露」^[小さく丸めた小豆餡にスリ密をかけたもので石衣と呼ばれることもあるころころと可愛らしい姿の菓子]をつぶあんで作る店
松露は松の根元に映えるきのこのこと
出町ふたば
言わずとしれた名店 つねに客の列が絶えない
あぶり餅
今宮神社の門前に古くから建つ2件のあぶり餅や
もともとは疫病退散のもちとして知られた
もちときなこと白味噌で作られた素朴なタレが15本で一人前 お茶とセットでいただける
澤屋の粟餅
毎月25日の北野天満宮の縁日の日に行列ができるあんときなこのシンプルなお餅
加茂みたらし茶屋
下鴨神社の催事の御手洗祭に備えられた団子が原点のみたらし団子発祥地
串に刺さった5つの団子のうち1つだけが離れているのは人間の五体のうちの頭を意味するからとの説も
川端道喜の粽
吉野葛と水と砂糖だけで作られた「水仙粽」とそれにこしあんを加えた「羊羹粽」がある
店舗はシンプルで注文した菓子を取りに行くだけ
定番の和菓子
日常的に親しまれる和菓子の歴史を簡単に紹介していく
まんじゅうははじめは甘くなかった ー 江戸時代には砂糖を使った甘い饅頭は「砂糖まんじゅう」として区別されていた
麩饅頭はこねた小麦粉を見ずに浸してグルテンだけにした生地に、もち米などを加えて、あんを包んだもの
酒まんじゅうは炊いたもち米に麹と水を加えて作った酒種でふっくら芳しくする
羊羹
もともとは羊に見立てて作ったスープだったことが感じからもわかる
「羹」とは中国から伝わった点心(あつもの)のことをさす
日本では肉を食べない習慣だったので、中国から伝わった「羊羹」を植物性の材料で代替して作ったのが始まりと考えられる
甘い羊羹は江戸時代以降に寒天が発見されてから作られ、それまでは蒸し羊羹しかなかった
団子
東京と京都の団子は数が違うことが多く、東京は4つ、京都は5つが多い
江戸でも昔は5つで売られていたが、四文銭の普及で4つに減らしていったという
おはぎ
おはぎは別名がいろいろとある 「萩の花」や「ボタン餅」、「おはぎ」はすべて萩/ボタンの花の咲くようすに似ているからと言われる
他にも「隣知らず」: 音がしないので隣にも気づかれない 「夜船」いつ着くかわからない夜船に例えていつすり鉢でつくかわからないという
ユニークな名前もある
飛騨地域などではごまのおはぎの代わりに「あぶらえ(えごま)」のものが一般的という
カステラ
福砂屋はカステラが有名だが、カステラは一般的に白身と黄身を分けて混ぜるという
すはま
きなこに水飴と砂糖を加えて練り上げて3本の竹を当ててせいけいしたもの
「すあま」は餅粉、「すはま」は大豆粉
村雨
大阪・貝塚市にある塩五の登録商標のお菓子 口の中でほろほろと崩れる食感を通り雨にたとえた
おわりに
京都でもいろいろな事情で古くからのお店もなくなっていく。
茶人も愛した京都の老舗和菓子店が118年の歴史に幕 後継ぎ死去で力尽く|経済|地域のニュース|京都新聞
武者小路千家の家元好みの菓子「涛々」。こしあんに大徳寺納豆が練り込まれている
「涛々」は長年、家族ぐるみのつきあいがある老舗「鍵善良房」(東山区)に引き継いでもらうという。「菓子が残るのが何よりです」とかみしめるように話した。