ジェンダー・アイデンティティ
「あなたのジェンダー・アイデンティティはなに?」この質問に答えられなくても、大丈夫。なぜなら、性別は揺れ動くものだから。思春期のあなたに必要なのは、考えて、試して、悩むこと。自分の性を知ることは、自分を知ること。性について考えることは、まわりの人を大切にすること。一緒にジェンダー・アイデンティティについて考えてみようよ。
おすすめポイント
- ☑ジェンダー・アイデンティティってなんだろうって思ったら
- ☑気づかないうちに人を傷つけないために
ジェンダー問題に対して、アンテナが高くない人こそ読むといい本なんだよな
ジェンダー・アイデンティティ
ジェンダー・アイデンティティってなんだろう
アイデンティティは、「自分は自分だ」とわかっている状態。
ジェンダー・アイデンティティとは、「自分の性別は”こうだ”と自分の中で分かっている状態、納得している状態」 そして、「自分がその性別だと思うこと」を「性自認」と呼ぶ。
ジェンダー・アイデンティティの基本
- からだの性や、法律上の性と同じこともあるし、違うこともある
- 「男」と「女」だけではない
- 「見た目」「好きなもの」「どんな性別の人を好きになるか」からは判断できない
- ジェンダー・アイデンティティがはっきりしている人も、していない人もいる
ジェンダー・アイデンティティを知りたいと思っても、無理に尋ねるのはNG
知ってほしい人も、伝えたくない人も、そしてタイミングもある。
いろいろなジェンダー・アイデンティティがある
男性や女性の他にもいろいろなジェンダー・アイデンティティがある
しっくりくる名前のものもあるし、自分にとってぴったりラベリングできるものがあるとも限らない。
他のジェンダー・アイデンティティ
- クエスチョニング: ジェンダー・アイデンティティを探求中の人
- ノンバイナリー: 男/女という性別の枠に当てはまらない人
- 中性: 男女の中間の人
- 無性: 性別はない人
- 両性: 男性でもあり、女性でもある人
- 不定性: 一つに定まらない人
- 「」: 中には特定の名前を付けたくない人も、自分にぴったりのものが見つからない人もいる
シスジェンダーとトランスジェンダー
シスジェンダー: ジェンダー・アイデンティティが、生まれたときに割り当てられた性と同じ人
トランスジェンダー: ジェンダー・アイデンティティが、割り当てられた性と違う人
この中に先程の ノンバイナリーなども含まれる。
トランスセクシュアルは、割り当てられた性から変わるために医学的処置を受けた人
他にもMtX(Male to X gender)やFtM(Female to Male)という言葉もある。
トランスジェンダーと性同一性障害
トランスジェンダーは、割り当てられた性とは違うことを肯定的に表現する言葉
性同一性障害は「医療ケアを受けるために必要な診断名のこと」
したがって、トランスジェンダー=性同一性障害ではない。
また、「トランスジェンダー」を日本語で表すときには「性別越境者」という言葉が使われることもある。
みんなが気持ちよく過ごすために
決めつけずに、その人の声を聴こう
たとえば、、、
-
みんなが自由に選べるようにする
-
性差をなくす
-
必要な人に必要な対応をする
気づかないうちに傷つけてしまっているかもしれない
- トランスジェンダーはいないことが前提になっている
- ことばや表現による差別
- 「~のはず」というステレオタイプのおしつけ
- 無自覚のうちにおこなわれる差別(マイクロアグレッション)
日本の法律でできることは
戸籍上の性別変更が6つの要件に当てはまればできる
- 二人以上の医師により性同一性障害と診断されている
- 18歳以上である
- 婚姻をしていない
- 未成年の子がいない
- 生殖腺がない、もしくは生殖腺の機能を永続的に欠く状態
- ほかの性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
うえの要件に対して、
- 未成年の子供がいてはいけない
- 手術を受けなくてはならない という部分に対して改正を求める声も上がっている。
カミングアウトされたとき
カミングアウトを受けたときに、慌てない、傷つけないための準備
- 相手の話をよく聞いて、否定しない
- 何が必要? 決めつけずに相手に尋ねる。
- 素直な気持ちを伝えよう
- もしも、傷つけてしまったら
- アウティングを絶対にしない
秘密を守れなくなりそうになったら、知っている人にではなく、秘密を守れる機関に相談しよう!
性の多様性ってなんだろう
「ふつう」ってなんだろうね。
英語ではNormalとかをつかわずいLike Everyone elseみたいな言い方をしていたけれども。
SOGIESC(ソジエスシー)はすべての人の性のありかたを表す言葉
それぞれ
- Sexual Orientation
- Gender Identity
- Expression
- Sex Characteristics の頭文字をとった総称
おすすめのウェブサイト
SEXOLOGY 幅広い話題を知ることができる性全般の教科書
#つながるBOOK 身近な疑問に答えてくれる
Human+ からあやこころの健康について役立つ情報サイト
セイシル 知ろう、話そう、性のモヤモヤ 人には聞きにくい10代の性に関するモヤモヤ
常設の総合LGBTQセンター | プライドハウス東京レガシー 情報発信や居場所づくりなどのイベントを行っている
おわりに
「ジェンダー・アイデンティティ」についてよく整理されていて、配慮されている本だった。 自分がマジョリティに属していると思っているひとにとっては、マイノリティの人たちがそれぞれどのように悩んでいるかを想像しにくい。
そうした想像力の貧困ゆえの「マイクロアグレッション」や、性教育の貧困による知識がないせいで相手の存在をないもののように扱ってしまう現状が今の日本だ。
こうしたブックは、悲しいことに興味のある人や、アンテナの高い人にしか読まれないことがほとんどなので、多くの人にお勧めしたいと思った。