こいわずらわしい
恋愛なんてもう卒業。花や草や虫を愛で、気の合う仲間を思い、心穏やかに暮らしていたい。そう嘯きながらも、恋に恋する気持ちが捨てられない。恋愛は甘く美しく、しかし時に猛毒ですらあることも知っているというのにー人と人との間で交わされる、恋と愛のエピソードを渉猟する日々を丹念に綴った、メレ山メレ子的恋愛フィールド雑記帳。
おすすめポイント
- ☑メタ認知的恋愛テキスト
他人から聞いた恋愛の話と、自分の恋愛語りと、そして余談がちょうどよく織り交ぜられていて脱線してもその線路に乗るのも楽しく、でもそこまで遠回りするわけでなく小気味よく戻ってくる。 内容自体は濃くて面白くて共感と納得すること多し!
こいわずらわしい
こいわずらわしい
book/read
こいわずらわしい | メレ山メレ子 |本 | 通販 | Amazon 978-4750516691 エッセイ こいわずらわしい
著者
メレ山 メレ子さん
1983年大分県別府市生まれ。平日は会社員として勤務している。 旅ブログ「メレンゲが腐るほど恋したい」にて青森のイカ焼き屋で飼われていた珍しい顔の秋田犬を「わさお」と名づけて紹介したところ、映画で主演するほどのスター犬になってしまう事件に見舞われた。 やがて旅先で出会う虫の魅力に目ざめ、虫に関する連載や寄稿を行う。2012年から、昆虫研究者やアーティストが集う新感覚昆虫イベント「昆虫大学」の企画・運営を手がける。 著書に『メレンゲが腐るほど旅したい メレ子の日本おでかけ日記』(スペースシャワーネットワーク)、『ときめき昆虫学』(イースト・プレス)、『メメントモリ・ジャーニー』(亜紀書房)がある。
todo
恋に恋する
初っ端に出てくるのは「微妙だったデートの話」 リトアニアのダウジングの話とはいえなくも、なにか特徴のある「微妙なデート」があるって大事なことなのかな。
むしろ、そういう微妙さはさしてきおくにのこらずエピソードとして消化するのには無駄すぎるんだ
エクストリームスポーツ
恋愛は限界に調整ん整体人向けのエクストリームスポーツ
仕事や学業、人間関係にまで影響を及ぼすし、さいあく死者は出る
危険な遊び。
この人、言語化能力が高すぎて男子でもめっちゃ共感しちゃったり、女子はこれに共感するんだろうな-と納得させられちゃったりすることが多かった。
19文字でだめだった
「メレ山さんの恋人は、嫉妬とかするほう?」
芸能人ならではの距離感の近い撮影に対しての気づかい
普通だったら「こんなにちかづいちゃってすみません」 「恋人がいたら、こんな写真がのるとやきもちを…」なんて言ってしまいそう
間違いなああく僕だったらこう言った。
「メレ山さんの恋人は、嫉妬するほう?」 素敵すぎる。 シンプルで無駄な気遣いなんて無いからこそいやらしさが全くない。 だからこそ逆に親密ないやらしさをかんじさせてしまうのかもしれない
こうやって聞けるような人間になりたいね
恋の押し問答
星野源
音楽/演技/執筆のさいのうがあり、もはや知らないものはないくらいお茶の間に浸透していながら、一人でも多くの人に名前を覚えておらうために歌の最初に「こんにちは星野源です!」あるいは最後に「ありがとうございます星野源でした!」と叫ぶほどの謙虚さと貪欲さ。犬のように人懐こい笑顔と、根暗な影の部分を併せ持っている。そんな人間が行動圏内に存在したら、もともとの好みのタイプなんて関係なく好きになるに決まっている。
p.25
星野源は自分のコンプレックスと向き合い、ロジカルに消化してきた人だとインタビューで言っている。 自分のコンプレックスに向き合うのってとっても強くないとできないことだからすごい。そしてそれを「ロジカル」に消化できるってドユコト。
追い込み漁はすすめない
デートの誘い文句に、傷つかないための予防策を張ることはおすすめしない。 「チケット余ってるんだけど」 「仕事がらみの相談があって」 のような誘い文句の予防線は、 誘われる側には微妙な雰囲気をただ醸し出すだけで、 断りのプロやおせっかい(空気が読めない?それとも嫌がらせ)の人は 「〇〇ちゃんがそれ行きたいって言ってたから、彼女誘うのどう?」とか、 「仕事の話なら上司もいたほうがいいですよね!」 なんて言ってくるそう
予防線を逆手に取られると、余計に痛いぞオトコタチ!
際どい話が紹介されていて、有名私大のおっさん教授が女子大生を食事に誘う話が載っていた。
断り慣れている子は
「祖父が生死の境をさ迷っていて、いつでも駆けつけられる状態にしておきたいので当分行けません」と言って断っていた
p.35
危篤のおじいちゃん」なんて、と言ってしまうと教授は冷酷すぎると思われるためそう言えないし、この「当分」っていう部分がだいじなんだろうね
この結論は「誘う側も誘われる側も、逆上だけは回避していこう」だそう むずかしいね
好色の承認欲求の満たし方
「女好き」の生き様ってなんだろう、って考える。
世話を焼いたり、まめにできたりする子で、メレ山とも「心目当て」の関係だと思っていたそう だが、結局「男なんてみんな女の体が目的なんだ」と言ってしまった。
彼は「女を手に入れるために」膨大な手間ひまをかけ、気遣いをしているが、それはハンティングのためであって、女を得られれば「おれは女を使い捨てられる男だ」と認識して承認欲求を満たし、女を得られなくても「女なんて使い捨ての価値しか無いんだから次行こう次」と切り替えて脳内王国で圧勝できるらしい
男の結局の目的は体目当てかもしれない部分は否定しないけど、こうやって消えていく関係性が怖いからがんばって躊躇している男性だっているだろうしな。
それと、この「女なんて..」の部分は若干過激すぎるがメタ的にこうやって認知できるくらいがメンタルを過度にいじめなくて住む、現代のライフハックだと思う
そしてもう一人の好色の話、
「ふらっと浮気するときなんて、『ちょっとこの人と一線を越えたらどうなるのかな、なんだかめちゃくちゃワクワクするな?』くらいの気持ちで、正直言って何も考えてないもんね。そう考えると、おれが浮気される皮になっただけでは、そこまで深刻に傷つけられたって気持ちにはならない。独占欲は刺激されるし、苦しいけど p.45
用語
粉をかける
意味
デジタル大辞泉 「粉をかける」の意味・読み・例文・類語 粉こなをか・ける 女性を口説こうと、気軽に声をかけてみる。「ちょっと―・けてみる」
用法
遊び人のハシダに「あっちこっち粉をかけるのはそんなに楽しいのか」といったとき、彼には「粉をかける=口説く」という語彙がなかったので「粉をかけるってどういう意味?何色の粉?ピンク色?」と言っていて
わたしと向き合う
メンズメイク入門の入門、 鎌塚 亮|note メンズメイク入門の入門|週末セルフケア入門|鎌塚 亮
可愛い服に負けるな自分
メレ山さんの服は 「私はこういうのが好きなんで!それでもいい奴はかかってきな!文句のあるやつは別の意味でかかってきな!」という態度らしい つまり、 自分がこうだと思っている服装や物言いをすることで、「メレ山さんっていつも自分に似合うものがわかっていて素敵だね」と言ってくれる「ものの分かった人」に効率よく出会いたい、チヤホヤされてエらしい
言語化がうまくできている。 普通の人はどうかわからないけれども、僕らも服装で世間体と合わせると同時にそこに自分らしさを投入してその部分に対する反応から効率的に人と合うかを選別しようとしてしまっている節はあるのかもしれない
さしすせそ
「合コンでもてるさしすせそ」 普通に男子目線からするとこれを言われると嬉しいのだ。 もちろん露骨に言われると悲しいのだが、鈍感なオトコタチが気づかないような工夫をしてさり気なく言ってくれる、もしくは本当に自然と口から出てくる「さしすせそ」は恍惚だ。
のあとに、「さしすせそ」の「せ」が思いつきにくくなる。 調味料のさしすせそでも「せ」だけ「せうゆ(しょうゆ)」というのは無理があるwと
んで、「せ」はなにかって考えたら、男を喜ばせる「せ」から始まる言葉は「セックスしよう」が頭から離れなくなってしまったと。
「さしすせそ」で気分が良くなるクソ男は、「弱っちい」女性感が好きなのであって、押し倒したりなあなあな気分のまま持ち込むのが好きなタイプ 双方合意の上、みたいなお互いが同じ立場のもとで「セックスしましょう」と言ってくる女の人を対象にはしないからおすすめだよ、、、らしい
地方での「運転できない女性」
この人で紹介されている余談、も僕には到底想像できない女性の世界線を感じた。 というのも「女性が地方で車を運転できない」は搾取の対象でツミというもの。 一時的にでもだれかの行為に頼って車に乗ると、そこは男の独壇場、密室(と勘違い野郎がいるので)セクハラやストーキングの被害に合うことが多いらしい。 しかも、周囲からのセカンドレイプも地方ではざらなのか? 「男の車に二人きりだったら何をされても仕方ない」
なるほど、女性をひとり、車に乗せるというのはとっても相手にとっては怖いことなのかもしれないって気づいてあげられていなかったなあ
僕らのあるべき男女の関係性
僕ら男性が悩んでしまう「男女の関係性」における「男らしさ」の処理の仕方
「以前はちょっと好きな女の人にはいちいち”その先”を求めていたけれど、ごはんだけで満足できるようになったのがターニングポイントだった気がする」と言っていた _ 「二十三時まで話したあとも二軒目で一杯つきあってくれたりするとそれで性的になにかできるかもというよりその状況で安心して過ごしてくれているのが嬉しくて、離婚したあとにそんなふうにあってくれる友人がいたのがすごく心の支えになった」 もし片方がある日その気になって「セックスしよう」と言い出しても、もう片方が「いや、したくない」と断ったら誘ったほうも「そっか、ごめんね」と誤っておしまい その信頼関係さえあれば心はじゅうぶん満たされる p.86
自分が好きなモノ(僕の周りには”自然”関係が多いけど)を共有できる人同士ではもちろん話が盛り上がるし、今後の関係性も大事になるのはそうだけど、それを抜きにしてもこういう関係性を作りやすい環境だろうとは思う これを違う畑の人に対しても展開できるようになりたいね 淡白すぎるとは別の次元の「充実」がほしくもなる
恋愛の謎と痛み
わかられてたまるか
僕が見たこと無い映画「愛が何だ」 のような恋愛映画は「目っっっっちゃ共感する」ってひとと「はぁーーーー何言っているか1mmも理解できねえ」みたいな層の2つにわかれやすいというのもその人の恋愛特性によるところが大きいんだろう
見たことがないのでなんとも言えないけれど、ここで紹介されていた 「愛が何だ」と 佐藤哲也の『シンドローム』 ジャンルとしてはジュブナイルホラー 柴崎友香の『寝ても覚めても』 ぐにゃりと世界がゆがむ展開が用意されている の3つがメレ山流「迷妄三部作」
男手を頼らない
よくものを借りに来る同期の話 ー 借りていくのはガムテープで、かわりに旅行のお土産などをくれた
「ガムテープくらい買ってくればいいのに」と思ってしまうのは、「他人の部屋をノックして借りる心理的負担」よりも「着替えてコンビに行くめんどくささ」のほうが軽いかららしい ぼくも圧倒的に後者、自分でなんとかしてしまうタイプ
借り上手はコミュ上手 頼られた相手は嬉しそうだし、そのあとのコミュニケーションや頼み事がスムーズに行きやすくなる
おおきな相談事もおたがい構えずに相談できる関係になる
この借りるけど、借りすぎない、相手に頼りすぎないバランスっていうのは生きていく上でとっても大事で、そのバランスを鍛えるためにも日々人から借りていくのが大事だと思う
顔を持っただれかが自分で考えながら手を貸してくれることでひとりではおもいつかなかったものがどんどん生まれてくる。それが楽しいから「あなたならこういうことをしてくれるんじゃないか」という期待とともに頼りたいし、そのほうが期待以上のものを見せてくれる確率が高い p.101
信頼できない語り手、懲りずに人を好きになる
井戸理論
元ネタはサン=テグジュペリの星の王子さま終盤に出てくる王子様のセリフ 「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからよ …」
いつも暗い顔をして出勤しているサラリーマンも、対して面白くもない番組を昼間から見続けている主婦にも「この人たちも好奇心の井戸を隠しているに違いない…」と思い込むことで、彼ら/彼女らの今の表情/行動からは汲み取れない、面白さを秘めていることを期待する理論
マルタのようなもの
この本は女性目線で書かれているので、男のぼくには今まで考えもしなかったことがいくつか書かれている
結婚のときの名字問題「夫婦別姓」の話、是非がどうではなく、 今の風潮として 「名字を変えるのも、男が本来しなくていい不自由だとどっかで思ってるからこそ、あえて選択した不自由にはしゃぐみたいなことができるんやな」と
僕も夫婦別姓には問題点が多いが、同性のままではどちらかが一方は間違いなく面倒な手続きや心理的な負担がある。 逆に男が変えるといいのかっていうとなにかしらもやもやする部分があった これを完璧に言語化してくれたのはメレ山さんの交際相手だ恐るべし
おわりに
この本は作者自身が「いらないジュン役に立たない恋愛コラム」にしたいと言っている でも、巷の本はある意味テキストブック感がつよすぎる恋愛本ばかりでほとんど焼きまし、もしくは実際の女性の気持ちと乖離している部分が多いような気がする
似たような畑で生きているのか知らんけど共感と納得がめちゃくちゃ合って今まで読んできた恋愛本エッセイとかの中で一番客観的なメタ認知の人だった。 だから楽しく読めたと思う
おもしろい。彼女の他作も読んでみたい、きっと